ボストン生活-続編② Global Citizen Japan


 お久しぶりです。クロワッサンです。ちなみに、NY mid-townのMaison Kayserの朝ごはん・クロワッサン・ケーキ、半端ないです。おすすめです!!

 今回は9月29日にNYで開催されたGlobal Citizen Festivalについてご紹介します。


 
 「Global Citizenって何?」と思われている方が多いと思うので、まずはこちらの団体について説明させてください。
Global Citizenの活動モデル




 Global Citizenは2012年に設立され、2030年までに極端な貧困の撲滅を目指している国際団体で、現在本部はニューヨークにあります。世界規模の課題解決に向けたオンラインプラットフォームで、グローバルな若い世代を集結させ、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を達成させるため「具体的な行動=アクション」を促進させています。ここで言うアクションとは、Twitterを通じた情報発信や請願書への署名活動、ステークホルダーへの電話やメール、優良企業に関係者への協賛依頼などを募金活動・資金調達をせずに、実行する行動のことです。(※Twitter、メール、電話のテンプレートはすでに用意されており、ワンプッシュでアクションを起こせます。)これらの行動を起こすとポイントが得られ、そのポイントで世界各地で行われる音楽フェスティバルやその他のイベントのチケットに応募ができ、無料で参加ができます。
  2012年の設立以来、Global Citizenのアクションにより、世界リーダーからもSDGsへの高い関心と協賛を得ることができたことで、総額約379億ドル(日本円にして4310億円余り)の資金の確保により、22.5億人以上の人達の援助を成し遂げることができました。





Global Citizenアプリの模様


 「Global Citizen Festival」は、国連総会に伴い開催される毎年恒例のGlobal Citizen政策提言イベントです。当日は、2030年までに達成目標とする極端貧困層解消への政策や財政的提言が発表され、会場であるセントラル・パークには、SDGs達成への取り組みに高い関心を持つ6万人以上の人が結集します。その中には、政治・経済・芸術文化の各界において世界的に活躍する指導者や有識者、アーティストも含まれ、また、彼らを支持しサポートする数百万人のファンも世界中からメディアを通じ大結集します。


 過去のフェスティバルには以下のアーティスト、セレブリティ及び世界リーダーが参加しています。
世界リーダー:ノルウェー王国首相、カナダ首相、米国大統領、リベリア共和国大統領、マレーシア首相、デンマーク皇太子妃殿下、タンザニア元大統領、ガーナ共和国大統領、インド首相等
団体・企業関係者:国際連合事務総長、世界銀行総裁、Microsoft、Cisco、Johnson & Johnson、Gucci等
アーティストや著名人:ビヨンセ(Beyoncé)、リアーナ(Rihanna)、パール・ジャム(Pearl Jam)、コールドプレイ (Coldplay)、メタリカ (Metallica)、アリシア・キーズ (Alicia Keyes)、ジョン・メイヤー (John Mayer)、ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)、ボノ (Bono)、マックスウェル (Maxwell)、ニール・ヤング (Neil Young)、フー・ファイターズ (Foo Fighters)、ジョン・レジェンド (John Legend)、ザ・ブラック・キーズ (The Black Keys)、サルマ・ハエック (Salma Hayek)、チェルシー・ハンドラー (Chelsea Handler)、プリヤンカー・チョープラー (Priyanka Chopra)、フォレスト・ウィテカー (Forest Whitaker)、ケイティ・ホームズ (Katie Holmes)、ブリジット・モイナハン (Bridget Moynihan)、ラリー・キング (Larry King)、ウィル・アイ・アム (Will.i.am)、オリヴィア・ワイルド (Olivia Wilde)、チェルシー・クリントン (Chelsea Clinton)、ニール・パトリック・ハリス (Neil Patrick Harris)、カーディーB (Cardi B)、その他


“What is a Global Citizen?”


2017年1月に電話会議が行われ、それ以降、日本での活動展開に向けた活動は以下のように進んできました:


2017年1月 NY本部との電話会議
2017年3月 NY本部にて顔合わせ、今後の活動展開についての打ち合わせ
2017年5月 オフィシャルサイトに日本語ページの立ち上げ
Coldplay 来日ライブにてGlobal Citizenの活動紹介を行う


Coldplayの東京ドームでのライブにて

2017年9月 NYのGlobal Citizen FestivalにてMIYAVIさんと共に日本での活動展開について各国のリーダーにご挨拶をさせていただく


2017年12月 東京で開催されたUHCフォーラムにて、Global Citizenの動画を上映
         本部からの代表者と外務省に活動の紹介

2018年3月 日本での活動展開に向け、本部から新たなキャンペーンについて情報をいただく
2018年4月 アーティストでありながら、東京大学特任准教授でもある、Sputnikoさんにご賛同いただく


2018年5−8月 NYで開催されるGlobal Citizen Festivalに日本政府からの参加者を集うため、外務省と調整
2018年9月 Rihannaから安倍首相及び河野外務大臣に賛同を依頼するツィートが送られる


毎年恒例のGlobal Citizen Festivalがセントラル・パークにて開催される

   Global Citizenの創設者であるWeiさんとFestivalのステージにて


 フェスティバル当日、アジア開発銀行北米支店のDeputy RepresentativeであるFei YuさんをGlobal Policy and Government Affairsチームの一員として、アシストさせていただきました。上述の通り、各セクターからハイレベルの参加者が集結するイベントであるため、警備が厳しく、ステージ裏の移動にも必ずパスが必要でした。また、今年は過去最多のスピーカーが来場したため、ステージ上での発表やVIPスペースでの挨拶や控え室での打ち合わせも全て分単位でスケジュールが決まっていました。


Festival当日の1日は以下の通りでした:
11:00 会場入り
12:00 昼食
13:40 Feiさんのstage momentのrun-throughを予定していたため、会場の入り口でFeiさんをお待ちする
14:10 Feiさんとrun-throughを実施
15:00 Pre-show開始
16:00 フェスティバル開始
17:10 FeiさんをVIP Spaceに誘導する
17:20 Feiさんの写真撮影、以降、ステージ前に移動。Feiさん、パフォーマンス拝聴
18:00 Green Roomに移動
18:20 ステージに移動
18:21 Bonang(南アフリカタレント)によるイントロ
18:21:40 Feiさんの講演
19:00 マイクの不調により、フェスティバルを一時中断
19:10 会場で参加者がボトルを割り、騒ぎを起こす
19:30 NYPD(NYの警察)とColdplayのChris Martinさんが騒ぎを治め、フェスティバルを再開
22:30 Feiさんを会場から宿泊先前までエスコート
23:00 片付け開始
23:30 全社を集め、打ち合わせ
24:00 集合写真撮影、解散


 イベントの裏方をしながら、ColdplayのChris Martinさんや世界銀行のJim Kim先生にご挨拶をさせていただき、FeiさんとGlobal Citizenの日本展開についてお話をしたりし、アジア開発銀行から活動に賛同を得ることができました。その場にいることができた自分は如何に恵まれているか肝に銘じ、時には言葉につまってしまい、フェスティバル後のCEOのスピーチでは、余りの感動に号泣し、CEOを思わずHugしてしまう(笑)など、色々な感情が経験できた実り豊かなイベントでした。
 世界規模の課題解決にはステークホルダーのみならず、一般市民、企業、団体、政府等、多種多様な人たちが連携する重要性、そして、お金や地位がなくても一人一人の声を集結させることによって世界を変える力があると肌で実感した一日でした。 今後の展望

 帰国後は、試験勉強が待っておりますが、Global Citizenの活動は続きます。12月には、ネルソン・マンデラ生誕100年記念として、南アフリカでさらに大規模な(10万人のGlobal Citizenが集結する予定です)フェスティバルが開催されます。  日本でも11月末にGlobal Citizen JapanキックオフGala、2019年にG20、Rugby World Cup並びに、2020年はオリンピック、TICAD、Nutrition4Growth Summit等を現在、計画中です。  乞うご期待、そして応援、宜しくお願いいたします。



Global Citizenと繋がった背景  生後7か月から米国で育った私は、多国籍・多職種の人々に囲まれ恵まれた生活を過ごしてきました。ただ、幼少期から、なぜ、貧富の格差、不平等性が存在するのか。どうすれば、これらの撲滅、せめて解消することができるのかという疑問を抱いていました。
 未熟な自分なりに到達し納得した答えは、高校生の時に出会った「Mountains Beyond Mountains」というポール・ファーマー医師の伝記に記載されておりました。そこには、「極端な貧困層の撲滅には、草の根レベルから基礎医療システムを導入し、現地人が母国を治癒する社会の形成、そして不平等・貧困を撲滅する宿命を背負えるのは医師である」、と記されていたのです。

”Physicians are the natural attorneys of the poor, and the social problems should largely be solved by them.” - Rudolf Virchow

その言葉、人生観に魅了され、自分の能力は微小と十分承知していましたが、何が何でも医師になることを決意しました。
 数年後、優秀な学生・人材が世界中で集結し、課題解決をしていく中、自分の強みは果たして存在するのかと考えるようになりました。周囲と同様、アメリカの医学部を目指そうと、gap yearを利用し出願や研究をしていたところ、日本の医学部学士編入プログラムの存在を知りました。グローバル人材を養成し、都内で、唯一編入可能な国立大学である東京医科歯科大学の募集要項を読み、入学者の受け入れ方針・教育理念、HsLP、プロジェクトセメスター、6年生の海外臨床実習等、他では見たことのない教育システムに憧れ、塾に入り、受験しました。  入学するまでに時間はかかったものの、合格通知をいただいてからの私の人生は良い方向にしか動いていないと言っても過言ではありません。  合格後、アルバイト先の英語塾で、医学生に医学英語を促進する学生団体「Team Medics」を招待してもらいました。そこでTeam Medicsでボランティアされている医師兼准教授の方に可愛がっていただき、その方のご紹介でJIGHというGlobal Health 医療政策シンクタンクで、インターンとして採用していただきました。インターン中には、数え切れないほど素晴らしい経験をさせていただいたのですが、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の政策提言局部長がオフィスに登壇されたところに自分がいた事で私とGlobal Citizenの関係が始まります。  部長の登壇後、 「人のため、世のためを重視する日本文化は、なぜか、他先進国と比較して政策提言や募金活動に抵抗があると言われています。ただし、ODA世論調査データによりますと、抵抗があるというよりは、世のために貢献したい人はたくさんいますが、貢献するための分かりやすい場が少ない、または分からないからという結果が出ています※。ICTが普及していく今日、特に日本の若い世代にも貢献できる場をご存知でしょうか。例えば、音楽を通じた活動がありましたら、言語・文化障壁を解消できると思うのですが…。」 と根拠もほとんどない中、偉そうに質問を聞いてしまいました。  財団の担当者の方は、ただのインターンだった私の漠然とした意見をきちんと聞いてくださり、Global Citizen Policy and Advocacy TeamでVice PresidentをされているMick Sheldrick氏に繋げてくださいました。これが全ての始まりです。

※ 国民の70%以上が「何か社会のために良いことをしたい」と考える日本ですが(http://giving12.jp/en/)、2015年にゲイツ財団と行った世論調査では、回答者の7%のみが「自分の行動が貧しい国に良い影響をもたらすころができると思う」と回答しました。また、2015年に寄付を行ったりボランティアした経験があると回答したのはそれぞれ全体の24%と5%でした。

最後に

 MITでは、システム生理学という研究室に所属させていただいておりますが、こちらも上述した人生観と通じております。より的確な政策、適切で平等な医療システムを構築していくためには、データサイエンスの素養の必然性を感じ、本研究室に応募させていただきました。本研究室は、先進国のみならず、世界各国の臨床の現状の真相を研究し、global health informaticsを活用して、リソースプアな状況下でもイノベーションを起こすノウハウのプロでもあります。短期間であるにも関わらず、私のような外国から来た学生に、派遣先のCeli先生は私の想像を超越した、最先端の経験をさせてくださっていることはとてつもなく光栄であり、幸甚に思っております。そして、東京医科歯科大学無しでは、このような経験は不可能であったわけで、本当に、感無量です。  ハイリスクでローリターンの私を拾ってくださった東京医科歯科大学の先生方やスタッフの皆様、このような私をいつもサポートしてくれる家族や友人無しでは、今の私、そしてこの恵まれた環境は有り得ず、心の底から本当に感謝をしております。皆様、ご存知のように、私は抜けているところが多々ありご迷惑ばかりをお掛けしていて大変恐縮でございますが、大目に見ていただけて、大変助かっております😿(笑)。英語で申しますと、私の経験は「absolute privilege」です。今では自分の強みは日米のbilingual/biculturalであり、日米の架け橋として微力なりとも世界の課題解決そして日本を元気にさせる方向に携わらせていただければ幸いだと考えております。自分の幸運をどのような形で恩返しさせていただくかはまだ模索中ですが、必ず還元させていきたいと思います。  
 大好きな日本の未来を信じ甘えさせていただけ、その上に掛け替えのない経験をさせていただき、本当にありがとうございました。





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